更新日:2024年6月19日
民俗学では、博多を規範とした祭りやしきたりが周辺の町や村に伝播することを「ハカタウツシ」と呼び、北部九州に数多く残る山笠は「ハカタウツシ」の最も典型とされます。
現在、宗像には4地域(大島・鐘崎・地島・田熊)に山笠があり、かつて赤間では昭和30(1955)年頃、吉武では平成4(1992)年頃まで山笠がありました。一般的に山笠行事は人々の安泰、災いや厄除けの意味がありますが、沿岸部では、海上安全や大漁満足の願いが加わり、地島では山笠が海上を渡御(とぎょ)するなど各地で地域色豊かな山笠が実施されます。
そのような山笠も、アフターコロナで、担い手不足という共通の課題に直面しています。1トンを超える山笠は約80人の舁(か)き手が必要で、毎年確保に苦慮しています。地区外から募集、小学校と連携など、試行錯誤しながら担い手確保に努めていますが、厳しい状況が続いています。
さて、伝統行事というと過去から連綿と伝わってきたイメージがありますが、各山笠の歴史を紐解くと断絶と復活を繰り返してきたようです。例えば、田熊山笠は戦時中の中断を経て戦後に再開、その後も度重なる中断と復活を繰り返し、現在の山笠は、平成4年に復活したものです。これほど断絶と復活を繰り返す山笠はとてもめずらしく「絶やしてなるものか」という先人たちの心意気が伝わってきます。
今年も7月15日前後に、それぞれの山笠が市内各地を駆け巡ります。熱き思いに満ち溢れた舁き手たちに声援をお願いします。
(文化財職員・山田)
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