更新日:2023年4月26日
竪穴住居は快適か
古代人の住まいといえば、地面を掘り下げ柱を立て屋根を葺く「竪穴住居」がよく知られています。約2万年前の後期旧石器時代から確認され、広さは古墳時代後期の平均的なもので8から9畳ほど、5から6人程度の居住です。不動産物件とすれば、バス・トイレなし、キッチン備え付けのワンルームタイプといったところでしょうか。一見、不人気物件のようですが、半地下式の構造のため夏涼しく冬暖かい利点があり、大地との一体感も味わえます。田熊2丁目にある歴史公園「いせきんぐ宗像」では弥生時代中期の竪穴住居が復元されています。
カマドの神様
さて、竪穴住居の中央に設置するコンロ兼暖房設備である「炉」は、5世紀以降は朝鮮半島から伝わった「カマド」へと変わります。このカマドには導入期から神が宿ると考えられていたようです。
市内の例では、5世紀後半頃の冨地原川原田遺跡25号住居のカマド付近に滑石(かっせき)製の臼玉(うすだま)がまかれ、食物を盛り付けるための高坏(たかつき)11点が供えられていました。引っ越しなどで住居を放棄するとき、役目を終えた竃神(かまどしん)に感謝を捧げた祭祀(さいし)の跡と考えています。
カマドは現在の台所回りと同様、火災の原因にもなります。竃神は荒神(こうしん)とも呼ばれるように、いったん怒らせると荒ぶる神にも豹変(ひょうへん)します。カマドや火を取り扱う際には、うやまいの心を持って大切に行われていたのでしょう。
(文化財職員・白木)
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