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時間旅行ムナカタ第78回「夜空に響く楽と拍子木と掛け声」

更新日:2021年7月29日

八所宮の御神幸行列『新修宗像市史』民俗部会から

民俗部会では各地の地域祭礼や生活資料を調査しています。今回は、これまでの現地調査をふまえ、古くて新しい八所宮御神幸行列の魅力を祭礼文化の観点から紹介します。

各地区の分担により構成される深夜の祭礼

10月第3土曜日の深夜、八所宮(吉留)の秋季例大祭(おくんち)が行われます。八所宮は近在11箇村の産土神(うぶすながみ)として信仰を集める古社です。祭礼はその準備から行列に至るまで、吉武地区(旧吉留・武丸両村)の中で分担され、御神幸行列では担当地区を示す高張提灯が灯ります。舁(か)き手不足のため神輿が略されることもある昨今、八所宮では必ず3基とも出されるのは、役割分担が健全に維持されているからでしょう。近年は浦安舞の巫女行列も加わりました。こうした創出がみられることも、地域祭礼として生きている証です。

神輿は午後10時に出発し、必ず午前0時を過ぎて御旅所(おたびしょ)から還御(かんぎょ)します。2日にわたる深夜の御神幸は、神事本来の形式を維持したものです。行列に合わせて奏でられる楽や「エーイ、エーイ」という掛け声が深夜の空に響きわたると、独特の緊張感を醸し出し、神事の厳かさを見る者に強く感じさせます。

「古式大名行列」を含む行列構成

全国的には「奴行列(やっこぎょうれつ)」、その独特の所作を「奴振り」と称することが多いようです。城主やお姫様はいませんから。とはいえその由来は参勤交代の大名行列です。大名行列では、城の出入り、寺社参詣、本陣への宿入り、ときに道中で、奴振りをともなう構成をとりました。赤間街道筋にあたる八所宮の神事に奴行列がみられることは、この地域の歴史を色濃く反映した姿といえます。もとは大名行列の威儀を正し、見せ場をつくる奴振りですから、産土神に奉納するにふさわしく、かつ見物人の目を楽しませるものとして、重宝されたことでしょう。とくに八所宮の奴振りは、村内3地区(猿田・平山・松丸)の村人が申し出たことに始まるという伝承を持ち、地域の歴史文化として貴重です。

行列組による演舞

奴行列には、決まった姿勢、発声、所作、持ち物など、祭礼文化の華であり演舞というにふさわしい「型」があります。八所宮でも直前の週末になると、行列組による練習が境内で行われます。腕の角度、腰の落とし方、独特の足の振り方など、見栄えを重視した指導です。子どもたちは年齢とともに担当する祭礼具をかえ、そのつど先輩から指導を受けます。口伝による文化伝承です。

また、地域文化が健在であるためには、老・壮・青の各年代が揃うことが大切なのですが、八所宮では幼・小の年代まで揃います。八所宮の祭礼が懐かしさと同時に地域の今を感じさせてくれるのは、年代をこえて構成されているからであり、地域祭礼のモデルケースといえるでしょう。

(民俗部会執筆者・末松剛)

情報をお寄せください

今後の調査では、江戸時代の八所宮運営に関わる古文書によって、御神幸行列の歴史を解明することが望まれます。関係史料の所在をご存知の方は左記までご連絡ください。みなさんの協力をお願いします。

問い合わせ先

市史編さん事務局

電話番号:0940-62-0211

  • 青年2人による白羽熊の演舞が夜空に映えるの画像
  • 行列組の練習風景は真剣そのものの画像

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教育部 世界遺産課
場所:海の道むなかた館
電話番号:0940-62-2600
ファクス番号:0940-62-2601