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時間旅行ムナカタ第60回「古墳時代の空気の缶詰」

更新日:2021年7月29日

少し前に話題になった「富士山の空気の缶詰」。登山のお土産にもらった人もいるのではないでしょうか。名峰・富士山に登っていない人も、富士山の清涼な雰囲気を味わうことができる優れものです。けれども、宗像にはそれよりもすごい空気の缶詰があります。

どら焼きみたいな焼き物

不思議な形をしていますが、これは古墳時代の土器である須恵器の坏(つき)という容器(坏身)と、その蓋である坏蓋(つきぶた)がくっついた状態で焼けたためです。現在の天平台にあった須恵須賀浦(すえすがうら)遺跡で発見されました。須恵須賀浦遺跡は、6世紀前半~7世紀初頭に営まれた須恵器生産の遺跡です。

どうしてこのような、どら焼きみたいな形になってしまったのでしょうか。実は、須恵器を窯で焼くときは、場所の節約のためにペアとなる身と蓋を合わせて焼くことがあります。焼成後は、通常軽くお互いにくっついていますので、トンカチのような道具で叩き、分離させて完成させます。

しかし、この坏身坏蓋は窯の温度が上がりすぎたなどのトラブルで、ガチガチに溶着しているため、分離することができなかったのでしょう。失敗品として窯の外の作業場に捨てられていたものです。

溶着した坏身・坏蓋
溶着した坏身・坏蓋

 

気になる中身

この坏身坏蓋には、おそらく古墳時代の「空気」が詰まっているのではないでしょうか。富士山の空気は今でも吸うことができますが、1400年も前の古墳時代の空気は味わえません。文化財保護の観点から、蓋を開けることはタブーですが、文化財職員ながら、「古墳時代の空気の缶詰」を開けて、古墳時代の空気を味わってみたい、という衝動に駆られ困っています。

この遺物は、海の道むなかた館の図書館エントランスホールで展示しています。ぜひ見に来てください。

(文化財職員・田子森千子)

 

本来の坏身・坏蓋
本来の坏身・坏蓋

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このページに関する問い合わせ先

教育部 世界遺産課
場所:海の道むなかた館
電話番号:0940-62-2600
ファクス番号:0940-62-2601