更新日:2021年7月29日
秋は収穫の季節で、神様へ作物の収穫と自然の恵みを感謝する秋祭りが各地で開催されます。毎年10月に吉武の八所宮秋季大祭で実施される御神幸祭(ごじんこうさい)もその一つで、300年以上の伝統と歴史を誇り、地域のみなさんの手で現在まで受け継がれています。
将来へ受け継がれる八所宮の御神幸
御神幸とは、神様が神輿(みこし)などに乗ってお見えになることです。八所宮の御神幸は、250人以上の御神幸行列と大名行列を伴う大規模なもので、神様が人々の生活をご覧になるため、境内から約1キロ離れた釣川沿いの御仮所まで「おくだり」されます。
そのうち御神幸行列は、約190人、地区ごとに担当が決まっていて、毎年同じ役割で行列に参加します。大名行列は行列組と呼ばれ、幼児から青年までの60人からなります。所作も役割ごとに決まっていて、特に「白羽熊(しらはぐま)」「鋏(はさみ)箱」「草履取り」の「エーイ、エーイ」という掛け声と右斜め前、左斜め前とジグザグに進む歩き方は、八所宮の御神幸独特のものです。
少子高齢化の中で、これほどの大人数の行列を毎年維持することは大変なことで、現在、後継者不足が一番の問題となっています。一昔前までは、大名行列も地区で担当が決まっていたそうです。
「昔から、八所宮は吉武地区のコミュニケーションの場であり、御神幸行列もその一つ。後継者問題は大きな課題だが、伝統を大事に次の世代に伝えていきたい」と八所宮奉斎会会長の白坂義秋さんは語っていました。
拍子木の音に合わせて空高く突き上げる白羽熊(八所宮奉斎会提供)
八所宮秋季大祭で伝統と歴史を感じよう
御神幸が実施されるのは午後10時。夜の篳篥(ひちりき)(管楽器の一つ)などによる奏楽を伴った神事は、厳かな空気に包まれます。御仮所到着後、午前0時ごろから夜中の釣川の澄んだ水を神様にお供えする、お汐井取りが実施され、その後、八所宮に向け「おのぼり」を開始します。八所宮に到着し、神事が終了するのはなんと午前1時を回った頃です。
今年の八所宮秋季大祭は、10月17日(土曜日)、同18日(日曜日)に開催され、御神幸は17日夜に実施されます。午後6時からは、境内で浦安の舞などの奉納舞台や、御神幸に向けて本殿から神輿へ移る御霊遷しの神事が実施されます。18日には秋祭りの風物詩の子ども相撲大会や、絵馬などの神社所有文化財も公開されます。
秋の夜長、みなさんも八所宮で300年以上の伝統と歴史を五感で感じてみませんか。
(文化財職員・山田広幸)
- 八所宮秋季大祭について詳細は、八所宮☎(33)4467へ問い合わせを
大名行列の先頭を行く木彫りの鷹像を持つ子どもたち(八所宮奉斎会提供)
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