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時間旅行ムナカタ第49回「日本人にかえれ出光左三展出航の地・宗像から世界へ」

更新日:2021年7月29日

 宗像から世界へとこぎ出した人物

2012年の夏に、百田尚樹さん著の『海賊と呼ばれた男』が出版され、一躍脚光を集めました。この本の主人公は、「赤間宿」(当時の宗像郡赤間村)に生まれた出光興産の創始者・出光佐三をモデルにしています。

 

出光佐三とは

  • 経営哲学に大きな影響を与えた佐三の言葉「人間尊重」(佐三謹書)


明治18(1885)年8月22日、宗像郡赤間村(現在の赤間)で藍(あい)問屋を営む父・藤六(とうろく)と母・千代の間に二男として生まれました。

成長した佐三は、赤間小学校、東郷高等小学校、福岡商業高校を卒業後、商業教育の府として全国で2番目に設立された神戸高商へと進学。この神戸高商での4年間で、佐三は実に多くのことを学び、後の「人間尊重」「大家族主義」といった経営哲学に大きな影響を与えました。

神戸高商卒業後、個人商店の酒井商会へ丁稚(でっち)として入店。その後、淡路島の資産家・日田重太郎の援助を受け、明治44(1911)年、北九州市の門司に、出光商会を開店しました。幾多の困難に直面しても独自の経営哲学を貫き、創業100年を越え、現在の出光興産株式会社へとつながっています。

 

出光佐三と宗像

 佐三は、世界で活躍しながら、宗像人であることを誇りにし、故郷を大切にしてきました。宗像に対する思いや宗像にまつわるエピソードをいくつか紹介します。

 

宗像神社の復興

昭和12(1937)年2月、貴族院議員に選ばれた後、参拝のために宗像神社を訪れたとき、拝殿を見ると、屋根は壊れ、ところどころにトタンがさしてあり、腐れかかった場所もありました。この光景を目の当たりにした佐三は、ひどく心を痛めました。早く元の姿に戻さなくてはと思い、昭和17(1942)年11月、宗像神社再建のため、佐三が中心となり「宗像神社復興期成会」を結成しました。

宗像神社史の刊行

宗像神社再建に向け動き始めた佐三は、政府高官から「気持ちは分かるが、物事には順序があり簡単なことではない。しかし、『宗像神社史』を作ったら、日本の神社に関してあらゆることが分かるぐらいに、神社史としては最高のものとなるだろう。それがあれば、何も運動しなくてもひとりでに解決する」との助言を受け、『宗像神社史』の刊行に向けて、資料の収集、調査、編纂(へんさん)作業を実施しました。終戦をはさんで一時作業は中断しますが、昭和36(1961)年に上巻を、昭和41(1966)年に下巻を、昭和46(1971)年に附巻をそれぞれ完成させました。

沖ノ島の学術調査

 神社史編纂(へんさん)の途中、沖ノ島では、何がどのように実施されていたのか誰も分からず、現地での詳細な調査が必要となりました。そこで、昭和29(1954)年に、初めて沖ノ島の学術調査が実施され、数多くの貴重な神宝と祭祀(さいし)の跡を発見。その後、2度にわたる学術調査を経て、昭和33(1958)年に『沖ノ島』を、昭和36(1961)年に『続沖ノ島』を、昭和52(1977)年に『宗像 沖ノ島』を刊行しました。

昭和の大造営

宗像神社史上巻発刊後の昭和44(1969)年、佐三の悲願だった「宗像神社を往年の姿に戻す」の実現に向けて、辺津宮本殿の修復工事に着工します。修復は、総工費約10億円(当時)をかけて実施されました。復興期成会の会長として、佐三は援助を惜しまず、これに取り組みました。宗像氏貞が天正6(1578)年に再建して以来、およそ400年ぶりとなる大造営は、昭和46(1971)年、着工から2年の歳月をかけて完了。同年11月12日に遷宮(せんぐう)大祭が実施されました。

大切にされている宗像との関係・出光社内の宗像大社

出光の事務所や製油所などには、宗像大社が建立され、宗像三女神が祀(まつ)られています。建設工事の竣工(しゅんこう)時などでは、宗像大社から神職を招いて神事が実施されています。郷土の氏神を敬い、人を愛し、大事にするという佐三の「敬神愛人」の精神は、現在も引き継がれています。

タンカーの名称に見られる宗像の地名

出光が建造したタンカーの名称には、沖ノ嶋(島)丸、赤間丸、大嶋(島)丸、宮田丸、玄海丸、高宮丸のように、宗像の地名を冠したものが数多くみられます。出光佐三は、宗像に大きな足跡を残しました。現在、海の道むなかた館では、平成27年度春の特別展「日本人にかえれ・出光佐三展~出航の地・宗像から世界へ~」を開催しています。ぜひ、見に来てください

(文化財職員・坂本雄介)

  • 84歳の時の出光佐三の画像

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