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時間旅行ムナカタ第45回 ムナカタの化石 4800万年前のタイムカプセル

更新日:2021年7月29日

みなさんは、市内から化石が見つかったことを知っていますか? 市内で、日本最古のサイの仲間の化石が発見されたという報道が、6月23日にありました。この化石は、1992年に吉留の地層から「コリフォドン」と呼ばれる化石が発見されたときに採集された岩石を、福井県立恐竜博物館と北九州市立自然史・歴史博物館が研究する途中(2011年)に発見したものです。

化石≠恐竜

化石化石と聞くと、まず、恐竜を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、恐竜は中生代三畳紀(さんじょうき/約2億5100万年前)に誕生し、ジュラ紀から白亜紀にかけて最も栄えた生物です。

今回発見された化石は、恐竜が絶滅(約6500万年前)した後の時代、新生代暁新世(ぎょうしんせい)から始新世(約6600から3390万年前)に生きていた哺乳類の化石です。この時期には、ほとんどの現生哺乳類の祖先が誕生しました。

川や湖に生息していた「コリフォドン」

この化石は、1992年に吉留の大焼層(おおやけそう)と呼ばれる地層から採集されました。この採集された岩石の中にあった大型哺乳類の骨や歯の化石は、国立科学博物館の冨田幸光さんによって、すでに絶滅した大型草食哺乳類「コリフォドン科」の化石と鑑定され、1993年3月6日に報道されました。

体長は約2から2.5メートル、体重約300キログラムにもなり、当時の陸上哺乳類の中では最大でした。川や湖に生息し、現在のコビトカバのような生活をしていたようです。犬歯が牙のように大きく、この犬歯を使って水辺の植物を根こそぎ掘り起こし食べていたと考えられています(下記1写真参照)。

コリフォドンの犬歯

1.コリフォドンの犬歯

アジア最古級の「ヒラキウス」

新たに見つかった化石は、サイ上科(仲間)と考えられている(研究者によってはバク上科)哺乳類で、その中でも進化の途中で絶滅してしまった「ヒラキウス属」と見られています。ほぼ完全な歯列を伴う下顎骨(かがくこつ/左歯骨と右歯骨前方部)と右踵骨(しょうこつ)、肋骨(ろっこつ)の一部、大腿骨(だいたいこつ)と見られる長骨が確認されています(下記2写真参照)。

ヒラキウスの化石

2.ヒラキウスの化石(北九州市立自然史・歴史博物館貯蔵)

サイの仲間ですが、体長は、約150センチメートル、背の高さは約75センチメートルと推定され、現在のサイのように角はなく、姿も細身で足が長く、ウマに近いスマートな姿であったと考えられています(下記3図参照)。

サイの仲間「ヒラキウス」

3.サイの仲間「ヒラキウス」(復元イラスト/山本匠)

化石が見つかった大焼層は、約4500万年前よりも古いことが判明していて、同じ層で見つかったコリフォドン科の化石の特徴から、中期始新世の初めごろ(約4800万年前)の可能性があるそうです。これまでの国内最古のサイ上科化石は、福岡県嘉麻市鴨生の上石層(うわいしそう)から見つかった属種不明の歯の化石(約4500万年前)でした。今回発見された化石は、これよりも古く、国内最古で、アジアで発見された中でも、最古級のサイ上科の化石です。

(文化財職員・坂本雄介)

注:「コリフォドン」と「ヒラキウス」の化石は12月16日(火曜日)から始まる企画展「ムナカタの化石 4800万年前のタイムカプセル」で展示します

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