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時間旅行ムナカタ第26回「河童を探せ!」

更新日:2021年7月28日

河童って何?

河童は、鬼や天狗(てんぐ)と並んで知名度の高い妖怪です。姿は子どもぐらいの身長で、頭に水の入った皿を持ち、背中に亀のような甲羅を背負っているというイメージでしょうか。ツチノコのような未確認生物と考える人もいて、多くの人々に親しまれています。

現在は、全国的に河(かわ)の童(わらし=子ども)と書いて「かっぱ」と呼ばれていますが、地方名や異名がとても多く、九州では「ミズチ」「カワタロウ」「ヒョースベ」などと呼ばれています。

個性豊かな河童たち

河童には面白い習性があります。まず、好きな食べ物はキュウリ。相撲が得意で、よく人間に勝負を挑みます。最大の弱点は、頭の皿の水がなくなると、弱ったり死んでしまったりすることです。厠(かわや=トイレ)に入っている人の尻をなでたり、人や馬を水中に引き込み、実体不明な尻子玉(しりこだま)という臓器をお尻から抜いたりと、かなりの悪さをします。

そうかと思えば、人間に腕を奪われたときなど、河童の秘薬と交換に自分の腕を返してくれとお願いに現れたり、農作業を手伝ったりするなど、さまざまな民話で私たちを楽しませてくれます。

釣川の長太郎河童

私たちの住む宗像にも長太郎(ちょうたろう)という宗像河童族の頭領が活躍していました。

宗像地方に伝わる民話では、室町時代の宗像大宮司氏国(うじくに)のころ、田島に片脇城(かたわきじょう)を築城する時、人手が足りなくなったため、わら人形を作って手伝わせていました。工事が完成して捨てられる時に、わら人形は「そこらにあるものを食って暮らせ」と言われ、河童の仲間入りをしたそうです。

河童が元は人形だったという話は各地にあり、河童の腕を強く引くと抜けるといわれるのは、人形だからというわけです。

さて、この長太郎河童、話の中で、宗像大宮司から「江口や手光の河童が悪さをして困る。河童の頭領として何をやっているのか」とひどく怒られますが、その後は巧みな作戦で悪河童たちを懲らしめています。

釣川の長太郎河童

垂水峠の河童

この他、国道495号の宗像市と岡垣町の境の垂水峠(たるみとうげ)にも河童伝説があります。

ある若者が、怪しげな人物(実は河童)から樽(たる)と手紙を芦屋の廻船問屋(かいせんどんや)へ届けるように頼まれます。峠で一休みしている時、好奇心に負けて預かった手紙を読むと、「この尻をもって千尻なり」という謎の言葉がありました。若者がこの意味を確かめようと樽の中を見ると、なんと人間の尻が999入っていて、自分の尻を含めると千になることに気づきました。若者は背筋の凍る思いをし、このことから峠は樽見峠と名づけられ、今では垂水峠と書くようになったという話です。

垂水峠の河童

河童はどこへ

このような河童像は、日本の豊かな山河を舞台に江戸時代に成立し、明治以降も民話として語り継がれます。しかし、自然の水辺が少なくなった今、河童たちはどこへいったのでしょうか。

河童は女性や男性にも姿を変えることができ、馬のひづめ跡の水溜りに千匹いるともいわれます。ひょっとすると、今日の環境変化も「へのかっぱ」とばかり、たくましく宗像の山河に潜んでいるのかもしれません。

最後に、宗像のさまざまな伝説に興味をもった人には「上妻国雄『宗像伝説風土記』西日本新聞社1978」をお勧めします。市民図書館で借りることができます。

(文化財職員・白木英敏)

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