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時間旅行ムナカタ第5回盆踊りで引き合うご先祖様と地蔵様

更新日:2021年7月28日

 盆踊りで引き合うご先祖様と地蔵様

  盆踊り1   盆踊り2

ご先祖様の精霊を祭る「盆」

8月、九州地方の各地では祖先の霊を祭る盂蘭盆(うらぼん)の行事(旧暦6月29日から7月15日)が開かれています。

「盂蘭盆」は、サンスクリットのウランバーナの音訳で、インドで夏安居(げあんご=雨季に洞窟や寺院などにこもってする修行)の終わる日(旧暦7月15日)に、死者が地獄で受ける逆さ吊りの苦悩を払うための供養を起源とする死者の霊を祭る行事で、日本では「お盆」として知られています。

母親救済で大喜び「目連の踊り」

お盆には、やぐらを組んでその周りを踊り巡る盆踊りが、市内各地区で催されています。

「盆踊り」は、お釈迦様の弟子で神通力にかけては一番といわれる目連(もくれん)が、餓鬼道(がきどう)に落ちて苦しんでいる母親に救済の手を伸べる大勢の僧たちの供養によって母親が救われたことで、喜びのあまりに踊り出したことが始まりとされています。

ご先祖様を迎える「盆踊り」

鐘崎に伝わる盆踊りは、8月13日に西方丸(さいほうまる)という冥界に旅立つ舟に乗り、西方浄土に行ったご先祖様の精霊たちが、十万億土から八重の潮路を泳ぎ渡ってお帰りになると信じられています。お寺の本堂や地蔵堂、観音様がいる堂内、屋外で踊られた念仏踊りに口説きといわれる文句と独特な節回しをつけた歌や太鼓などに合わせ、やぐらの周りを巡り踊る円舞式になっています。

昭和15年ごろには、10日間かけて鐘崎内の10カ所で踊られていました。しかし、現在は初盆のご先祖の精霊たちのために8月14日に阿弥陀(あみだ)様の前で踊り始め、24日にお地蔵様の前で踊り終わるものに姿を変えています。

「鐘崎盆踊り」は、「やぐらの上で地元民に語り継がれた口説きを、海で鍛え抜かれた男たちの力強い節回しで歌い、やぐらの下で若者が力強く太鼓をたたく中、単調だが素朴で躍動的な踊りを老若男女を問わず手踊りする踊りのさまは、他に比類のない貴重なものであり、指定し、保存伝承を図る必要がある」として平成3年11月15日、県の無形民俗文化財第71号に指定されています。

鐘崎盆踊りとお地蔵様

お地蔵様鐘崎盆踊りの最終日、8月24日はお地蔵様の縁日とされています。この日は「お地蔵様まつり」が開かれ、お地蔵様のお堂の前で盆踊りが披露されます。

特に口説きは、江戸時代に流行した心中を題材にしたものに宗像地域の事柄を織り込むなど、楽しみ方もいろいろ。中には、地蔵和讃を歌に織り込んだ作品もあり、鐘崎の人々のご先祖様を思う心に触れた思いがします。

8月13日にご先祖の精霊を盆踊りで招き入れ、24日のお地蔵様の日に盆踊りで返すことは、ご先祖様の精霊がお地蔵様に導かれ、西方浄土へ安寧(あんねい)に帰れと問いかける優しさではないでしょうか。

また、ハヤシの「マカショ、マカショ、ヤハトエイエイ、ヤハトマカショ、マカ、マカマカマカショ」は、「釈迦十大弟子の一人・摩訶迦葉(まかかしょう)の名を呼ぶことで、貪欲(どんよく)の罪で餓鬼道に落ちた人々を救済し、お地蔵様の力で西方浄土に導かせる掛け声」ではないかと考えています。

鐘崎のお地蔵様

(文化財職員・安部裕久)

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