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3.こと

生活空間や信仰空間である「ばしょ」で「ひと」によってつくられた形のないものです。また、「もの」が使われたり、「もの」を生み出すこともあります。文化財保護法における文化財の類型では、工芸技術を除く無形文化財・民俗文化財のうち民俗技術を除く無形の民俗文化財を含みます。

 衣食住

暮らしの中には、郷土食など歴史・社会・自然を反映したものがあります。郷土食は今も慶事や神事のあとに食される機会が多分にあることが特徴です。農村を中心に食される鶏のすき焼きは近世の養鶏が盛んだった頃の歴史を物語るものです。また、沿岸部の漁村では正月にのうさば(ホシザメの干物)を食す習慣があります。宗像市では、地域ごとに独自の料理法で風土に合った食べ物が受け継がれてきました。住まいについては、多くは都市住宅になり、居間中心の間取りに変化しましたが、農家の中には、玄関に土間があり、床上部分の部屋を田の字型に配し、座敷・納戸を設けるなど伝統的な住まいが残っているところもあります。

  • 43.鶏すき(鶏のすきやき)
    鶏すき(鶏のすき焼き)
  • 44.のうさば(ホシザメを干しタレに漬け込んだもの)
    のうさば(ホシザメを干しタレに漬け込んだもの)

 

 生業

漁業・農業・醸造業など、自然・地理環境を反映した伝統に基づく生業があります。日本海沿岸の海女発祥の地とも言われる鐘崎地区では、現役の海女は少なくなりましたが、今もアワビ・サザエ・ウニなどの素潜り漁が行われています。農業は、少ない農業用水を確保するために谷あいに溜池が造られ、これらの水を利用して稲作を行っています。また、現在、宗像市内には2件の酒蔵があり、いずれも江戸時代中期の創業で、勝屋酒造は宗像大社、伊豆酒造は八所宮の神酒として供されています。

  • 45.漁業
    漁業
  • 46.農業
    農業

 

 信仰

 宗像市では、神社・寺院をはじめ、地域や家々に根付いた民間信仰があり、清掃や信仰対象に花や水を手向けるなど、神や仏などへの信仰が日常に存在しています。神社についても江戸時代から昭和時代にかけ、講や同行など、信仰を共にする組織や仲間の存在があり、神宮参拝記念などの絵馬が奉納されています。宗像市の信仰の象徴として、沖ノ島祭祀を起源とする宗像三女神信仰があります。宗像大社は全国に約6400ある宗像三女神を祀る神社の総本社で、古来より航海安全やあらゆる道を司る神徳により、広く信仰を集めています。また、鎮国寺をはじめ、宗像八十八霊場の札所にもなっている地域の辻堂では、弘法大師信仰が見られ、大師像が祀られ、季節には遍路行者の姿があります。そのほか、農村でも漁村でも恵比寿信仰が盛んで、農業神と漁業神の両面性を有しています。

  • 47.お供え物が供えられた地蔵
    お供え物が供えられた地蔵
  • 48.宗像大社中津宮の祭礼
    宗像大社中津宮の祭礼

 

 年中行事

宗像市では神社・寺院、漁村や農村の各地域で、季節ごとに生業や信仰に基づく年中行事が見られます。特に沿岸部では、宗像大社みあれ祭や恵比寿祭りなど多くの祭りが厳格に毎年同じ日取りで行われていることが特徴です。農村の神社では、農事に関連したお籠りや秋には収穫を感謝する宮座や御神幸祭が見られます。また、山笠は東郷・鐘崎・大島の3地区に残っており、博多祇園山笠とのつながりが深く、飾りは博多人形絵師が手掛けています。

  • 49.田熊山笠
    田熊山笠
  • 50.宗像大社中津宮七夕祭り
    宗像大社中津宮七夕祭り

 

伝承・説話・地名

宗像市には、人々の間で伝え語り継がれてきた伝承や説話が残されており、民話の会などの市民団体が定期的にお話会を開催するなど普及に努めています。これらには、平家の落人伝説にまつわるもの・宗像大宮司家・福岡藩主黒田家など支配者にまつわるもの、地名についても伝承や説話にまつわるものがあります。現在50話以上が書籍に収録されており、内容は九州や全国各地に伝わる伝承・説話がベースと考えられるものと素朴で地域の独自性が強いものとがあります。

  • 51. 盆踊り(鐘崎浜ノ上)
    盆踊り(鐘崎浜ノ上)
  • 52.御神幸祭(冨地原愛宕神社)
    御神幸祭(冨地原愛宕神社)

 

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電話番号:0940-62-2600
ファクス番号:0940-62-2601