更新日:2021年7月29日
「新修宗像市史」の編さんは、時代と分野による6つの部会で事業を進めています。中世部会は部会員5人で、主に鎌倉・室町時代を対象としています。今回は、これら2つの時代の史料について紹介します。
鎌倉・室町時代の史料は、前回の市史史料編と『宗像大社文書(もんじょ)』(全4巻)にほぼ収録されていますが、部会ではこれらの史料の確認作業をするとともに、新しい史料の発見にも努めています。最近では、前回の市史に収録されていた神社の棟札を再調査しました。
棟札(むなふだ)とは、建物の棟上げのときに書かれた木の札で、棟上げの年月日、造営者、関わった大工さんの名前などが記されています。これによって、建築年代や建てた人など、建物の素性が明らかになります。
王丸の八幡神社
同社には、戦国時代の天正9(1581)年の古い棟札や、お宮の祭礼行事である「宮座」関係の資料が所蔵されています。棟札に書かれた文字は、今は薄れて読めないところがありますが、昔の人が読み取った棟札の写しと、九州歴史資料館での赤外線撮影の結果を照らし合わせて、新たに読めた文字があります。
これらは、戦国時代にこの地に勢力をふるった宗像大社の大宮司・宗像氏貞と、領内の神社造営の関係を知ることができる、貴重な棟札と思われます。
田野の依岳(嶽)神社
依岳(よりたけ)神社の宮座に参加し、その後、許可を得て社殿の扉を開き、内部に納められている歴代の棟札を拝見しました。薄暗い社殿の中に、幅約20cm、長さ1m強の古い板があり、それぞれ数行にわたり墨で文字が書かれています。
明るいところに1枚ずつ運び出してじっくりと見ると、多数の近世の棟札に交じって、なんと500年以上も昔の室町時代、文明3(1471)年に、大宮司・宗像氏郷(うじさと)が当時の「与里嶽(よりたけ)宮」を造営した時の棟札を発見。早速、九州歴史資料館で赤外線撮影をして確認したところ、福岡県で現存する最も古い棟札の可能性があると分かりました。今後の歴史の解明に、夢がふくらんだ調査でした。
(市史編さん事務局・牛嶋英俊)
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