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時間旅行ムナカタ第53回「魅惑のやきもの」

更新日:2021年7月29日

 海の道むなかた館には、縄文土器や弥生土器が展示してあります。「あぁこれが土器か、ふーん」こんな感想だけを抱いて、通り過ぎてはいけません。実は土器には、面白い魅力が隠されているのです! 今回は、土器をおもしろく見る手引きを伝授します。

そもそも土器とは

 考古学者の多くは、研究を始めるときに、まずその時代の土器を勉強します。なぜかというと、土器は最も小刻みな時間の変化を示す遺物の一つだからです。土器は壊れやすいため、日常的に作られていました。段々と変化していく特徴を捉え、順に並べていくことで、土器が年代のものさしになり得ます。つまり、ある遺物が土器と一緒に埋められていた場合、その土器を見ることで、遺物・遺構がどの時期の物なのか判明するのです。

 また、土器は日常的に作られるからこそ、その時期の文化や伝統をよく反映している遺物の一つでもあります。どの器種が作られ、どの文様がはやり、どう考えて取捨選択していったか、何を考えていたのか、どういった常識が主流だったのか、私たちは土器を並べて類推します。土器は、当時の人々の心を映す鏡なのです。

縄文土器の魅力と、弥生土器の魅力

 日本が世界に誇る、世界最古の土器と称される縄文土器は、文字通り、縄を土器の表面で回転させ、そこに押印された、さまざまな種類の縄目文様によって飾られているのが特徴です。

 しかし、中には縄文のない縄文土器もあります。たとえ縄文がなくても、それは粘土の帯をさまざまな形に張り合わせることによって、躍動感あふれる器形となり、見る者の心を揺さぶるのが特徴です。海の道むなかた館でも、鐘崎(上八)貝塚から出土した鐘崎式土器の破片に、縄文人の積極的な自己主張を垣間見ることができます。

 弥生土器の魅力は、何といってもその均整のとれた形と、すっきりとした文様が挙げられます。なぜこのスタイルになったかというと、弥生時代の人々が、第一に使いやすさ、つまり機能美を追及したからです。彼らは、使いやすさを重視し、薄くシンプルに仕上げようとする傍ら、ものを貯蔵するための壺、食物を盛り付ける高坏(たかつき)にさりげなく、時に大胆に意匠を凝らしました。

実際に土器を見てみよう!

 おすすめの土器を1つ紹介します。大井三倉遺跡から出土した土器を見ていきましょう。これは壺という器種で、物を貯蔵するために弥生時代から導入された土器です。

 まず、胴部を巡っている綾杉文が目につきますが、よく見ると表面がつるつるしています。これは、弥生の人が一生懸命土器の表面を磨いたからなのです。土器の表面を光に当て、よく見てみると、今でも器壁にヘラのような工具で磨いた跡がびっしり残っています。

 見た目はシンプルですが、よく見るとかなり凝ったつくりをしている、そのギャップに驚かされるのが、弥生土器の魅力なのだと考えます。

 ちょっと土器を見る目が変わったでしょうか? 「本当かな?」と思ったら、ぜひ海の道むなかた館に来て、確かめてみてください。みなさんが土器の魅力に気づきますように。

(文化財職員・田子森千子)

  • シンプルな見た目ながら魅力がたくさん詰まった弥生土器の画像

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このページに関する問い合わせ先

教育部 世界遺産課
場所:海の道むなかた館
電話番号:0940-62-2600
ファクス番号:0940-62-2601