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時間旅行ムナカタ第48回「すごいぞ!レプリカ(模型・復元品)」

更新日:2021年7月29日

分かりやすい展示を目指して

レプリカとは、辞書によると、「実物と形を似たものに造った物」と定義されています。博物館でのレプリカの役割としては、

  1. 分かりやすい展示を目指す
  2. 壊れやすい遺物の代わりに展示する
  3. 考古学の研究に活用する

などが挙げられます。

では、どのように活用されているのか、海の道むなかた館を例に、いくつか紹介します。

まずは弥生時代の展示から。同館の「稲作文化が渡ったみち」コーナーには、遺跡で出土した米(黒くなった炭化米)を展示していますが、それだけでは、当時の稲の様子が分かりません。

そこで登場したのが稲の復元品です。よりリアルに展示するために、収穫前の稲に見えるよう、彩色した古代米の復元品を展示しています。このような誤解を解くだけでなく、稲の復元品は、石器の灰色と土器の茶色で単色になりがちな弥生時代の展示を、目に留まりやすく、分かりやすくしてくれます。

同館・特別展示室に移りましょう。ここには現在、田熊石畑遺跡から出土した武器形青銅器を展示しています。田熊の青銅器も含めて、出土した金属器は、木質部分や布の部分が腐食して消滅していることが多く、機能していた当時の姿を残している例はほとんどありません。金属部分も、さびや腐食で、当時の形状や質感を留めている物は多くありません。これらを展示した場合、見る人がそのままその機能や形状を推測するのは極めて難しいでしょう。

そこで登場したのが、遺物の横に置かれたレプリカです。「分かりやすい展示」となるよう、製作された当時の姿を復元し、実物資料と並べて展示しています。

文化財の「代役」

遺物の中には、空気に触れたままにできない、繊細な物があります。それらの代わりを担うのが、実物に似せて作られたレプリカです。また、実物を他の博物館に貸し出しする場合には、代役としてレプリカが留守番をします。

 

考古学研究にも役立つ

「この遺物はどのような人が、どのように作ったのだろう?」と考古学者が考えたとき、研究方法の一つとして「遺物のレプリカを実際に作ってみること」が挙げられます。実際に復元品を作り、実物と比較してみることで、作者、見学者ともに、製作法や工人の工夫を想像でき、古代への理解がいっそう深まるのです。

このように、「レプリカ」は博物館にとってとても重要なものなのです。ちょっとレプリカを見る目が変わりませんか?

(文化財職員・田子森千子)

  • レプリカで当時の姿を思い描いてくださいの画像

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このページに関する問い合わせ先

教育部 世界遺産課
場所:海の道むなかた館
電話番号:0940-62-2600
ファクス番号:0940-62-2601