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時間旅行ムナカタ第23回「弥生の田熊石畑遺跡」

更新日:2021年7月28日

毎回テーマを決めて掲載している「時間旅行ムナカタ」。今回は、平成20年に発掘され、現在歴史公園としての整備が進む田熊石畑遺跡の近くに住む、架空の小学6年生カイトくんが、2000年以上前の弥生村へタイムスリップした設定で物語風に紹介します。

僕が学校へ行く途中に、いつも草がぼうぼうに生えている原っぱがあった。今から5年くらい前に弥生時代の大きな村「田熊石畑遺跡」が発見された場所だ。今は歴史公園になるための工事をしているから、お母さんは「お昼はうるさくてかなわないのよ」と言っているけれど、僕は公園ができるのをとても楽しみにしている。だって、2000年以上前のその遺跡の姿を僕は見てきたから。

突然、大昔の村が

  • 大昔の村が

それは、ある日の夕方のことだった。学校の帰り道で見つけた大きなバッタを追いかけ、田熊石畑遺跡へ入り込んでしまった。僕の背より伸びた草をかき分け、夢中になってバッタを探していると、突然目の前に広々とした大昔の村が現れた。

 

弥生人との出会い

  • 弥生人との出会い

遠くに見えるのは、学校の授業で習った、地面を掘りこんで屋根をかけた大昔の家。辺りを見回しながら村の真ん中の小道を歩いて行くと、地面にぽっかり開いた穴から首だけ出している男の人と目が合った。その人は両方の耳のあたりに「ちょんまげ」を付けたような変わった髪形をしていて、不思議そうに僕の方を見ている。近くに行って、何をしているのか話を聞いてみた。

あちこちに掘られた地下倉庫

  • 弥生時代の村と地下倉庫(イメージ図)
    弥生時代の村と地下倉庫(イメージ図)



男の人はにこやかに「この穴はお米やクリ、ドングリなどの木の実などを入れるための地下倉庫で、もうすぐ収穫するお米を入れるために、中を片付けているところだよ」と教えてくれた。よく見ると、周りにも同じような穴があちこちに掘られ、雨が入らないようにどれも簡単な屋根がかけられていた。

お願いして穴の中に入らせてもらった。入口は直径1メートルもないぐらいだけど、丸太に刻みを入れたはしごをつたって下りると、中は思ったよりも広くて理科の実験で使うフラスコのような形をしている。薄暗いけれど冷やりしていて気持ちがいい。壁が崩れてきて危なくなると、ごみ捨て場として使うそうだ。

説明してくれた男の人に、さっきから気になっていた髪形について聞くと「これは近ごろはやり始めた男性の髪形で『ミズラ』というのだよ」と髪に手を当てちょっと自慢げに教えてくれた。僕がその髪形を褒めると、とても気を良くしたみたいで「良かったらこの村を案内しよう」と言ってくれた。僕は「ぜひお願いします」とお辞儀した。 

今に通じる日本人の名前

案内してもらう前に、その男の人の名前を聞いてみた。すると、自分は「クマヒコ」と言い、この時代、男性の名前には「○○ヒコ」と名付けることがあると教えてくれた。そういえば、僕のおじさんの名前にも彦(ひこ)の字が使われている。「ヒコ」という名前が2000年も前からの伝統だったとは驚きだ。

それから、僕は親切で話し好きなクマヒコさんの案内で、村の東側を流れる川へ向かった。この川は、釣川の支流の1つ松本川のことだと思うけれど、僕らの時代では周りをコンクリートで固められていて、とても舟が行き来できるようには見えない。ここは村の中でも重要なエリアで、船着場があるそうだ。【後半へつづく】

(文化財職員・白木英敏)

田熊石畑遺跡
田熊石畑遺跡

 

 

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